2008年09月30日

憲法17年第2問

裁判所法を改正して,「最高裁判所は,訴訟に関する手続,弁護士,裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について,法律案を国会に提出することができる。」という規定を設けたと仮定する。この規定に含まれる憲法上の問題点について,内閣の法律案提出権の場合と比較して論ぜよ。

(出題趣旨)
本問は,憲法において最高裁判所規則事項とされている事項に関し,法律によって最高裁判所に法律案提出権を付与することが憲法上許されるかという点について,国会単独立法の原則,権力分立原理,司法権の独立,最高裁判所の規則制定権の趣旨等に関する基礎的知識を踏まえながら,内閣の法律案提出権と対比しつつ,内閣と最高裁判所の憲法上の地位の相違等に基づいた論理的記述ができるかどうかを問うものである。

(骨子)
(1)憲法は,国民主権(前文・15条1項)を実効化し人権保障を図るため国会を『唯一の立法機関』(41条)としている。これは,実質的意味の立法は国会が定めてなければならないことを意味し,具体的には,国会が立法権を独占するという国会中心立法と国会による立法は国会以外の手続的関与がなくても成立するという国会単独立法を原則とする。
(2)なるほど,司法の独立および合目的見地(裁判実務に精通していること)から,最高裁判所は規則制定権(77条1項)が国会単独立法の憲法上の例外として認められている。しかし,司法とは,具体的な争訟について,法を適用し,宣言することによって,これを裁定する国家作用であるところ,この作用を果たすため公平な立場が期待され政治的中立性を保つ必要がある。それなのに立法に関与すると妥協と討論の過程で政治的中立性(76条3項)を害するおそれがある。また,最高裁判所が提出した法律案について合憲性に疑義が生じた場合に,自ら合憲性を判断する(81条)ことになるが,これは背理であるといえる。したがって,最高裁判所に法律案提出権を認めることは憲法上許されない。
(3)内閣には,72条により『議案』提出権が認められる。これは憲法が認めた国会単独立法の原則の例外である。なぜなら,『議案』には法律案を含めて考えることができ,法案提出権をみとめても国会を拘束するものではない。また,憲法は議院内閣制(66条など)を採用し,国会と内閣の協働を予定して現代における多様な行政需要を充たすためには内閣に法律案提出権を認める必要があるからである。
(4)このような違いが生じるのは,権力分立における国会関係が内閣では協働することも予定されているのに対し,裁判所は少数者の人権保障の見地から協働が予定されていないという点に大きな違いにある。
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パトラッシュ,疲れたろう。僕も疲れたんだ。
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posted by まったりな。 at 11:53 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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