2008年10月11日

憲法14年第2問

以下の各訴えについて,裁判所は司法権を行使することができるか。
1 国会で今制定されようとしているA法律は明らかに違憲であるとして,成立前に無効の宣言をするよう求める訴え。
2 B宗教の教義は明らかに憲法第13条の個人の尊重に反しているとして,その違憲確認を求めてC宗教の信徒らが提起した訴え。
3 自衛隊は憲法第9条に違反する無効な存在であるとして,国に対して,自己の納税分中自衛隊に支出した額の返還を請求する訴え。

(出題趣旨)
日本国憲法上の司法権とは,具体的事件に法律を適用して紛争を解決する作用であるといわれているが,本問は,司法権の範囲及び限界に関し,三つの具体例に関連させながら,司法判断適合性,事件性の要件,裁判所法第3条の「法律上の争訟」,統治行為論(政治問題の法理)等の意義と機能について,その理解を問うものである。

(骨子)
(1)小問1については,司法権とは具体的な争訟について,法を適用し,宣言することによって,これを裁定する国家の作用をいう(76条1項)。そして,具体的な争訟とは,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に間する紛争を法律を適用することによって終局的に解決することができるものをいう。これは,裁判所法3条1項の『一切の法律上の争訟』と同じ意味し,英米法の影響を受けて規定されたいう沿革があるからである。そうすると,法令の規定は一般的・抽象的であり,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争といえない。また,裁判所が消極的立法を行うことになり,法律を適用することによって終局的に解決することができるものといえない。そこで,具体的な争訟とはいえないことから,裁判所は司法権を行使することはできない。
(2)小問2については,BC間で具体的な紛争が生じているとはいえことから当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する争いといえないし,宗教上の教義を違憲としても何ら紛争解決を図ることができないことから法律を適用することによって終局的に解決することができるものではない。そこで,具体的な争訟とはいえないことから,裁判所は司法権を行使することはできない。
(3)小問3については,自己の納税額の返還請求は,金銭の返還を請求するものであるから当事者間の具体的な権利義務に関する争いであり,法律を適用することによって終局的に解決することができるものである。そこで,具体的な争訟といえる。しかし,自衛隊を設置するか否かは高度に政治性を有する国家行為である。このような行為に関しては,主権者である国民の政治的判断に依拠して,政治部門において合憲性を判断すべきである。また,三権分立の原則や国民主権原理の観点から、民主的基盤が弱く政治的に中立であるべき裁判所にはその性質上扱えない問題が存在する。そこで,具体的な争訟といえるが,統治行為論の観点から裁判所は司法権を行使することはできない。
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パトラッシュ,疲れたろう。僕も疲れたんだ。
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posted by まったりな。 at 13:35 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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