2009年06月26日

『解析民事訴訟』

解析 民事訴訟

「訴訟審理の基本構造」および「訴訟手続の基本プロセス」を踏まえ、理論上の問題点を含む重要なテーマについて分かりやすく解説

元裁判官による民事訴訟法の演習のための本という感じの本です。演習のための本という感じというのは,昭和24年度から平成20年度までの旧試論文問題を掲載し,適宜解説を加えているからです。もっともすべての問題について解説を加えているわけではなく,一行問題などについては一言くらいで済ませている場合が多いです。一言でも触れているので独習者にはありがたいところであると思います。

『講義 民事訴訟』で民事訴訟の基本的事項と実務の基礎的理解について書いて,理論的に重要でしかも基本的事項について踏み込んだ解説を加えるために『解析 民事訴訟』を位置づけています。そうだとすると,『講義 民事訴訟』『解析 民事訴訟』とを両方利用することを想定します。もっとも,『解析 民事訴訟』だけでも十分に基礎的事項をマスターできるように書かれています。なお,1刷での訂正が『解析 民事訴訟』2刷訂正一覧として出版社のサイトにアップされています。

32の基本的テーマについて,重複をいとわずに丁寧に解説を加え,有力説についても踏み込んで取り上げつつ,実務の取り扱いについても配慮しているところが”眠素”になりがちな民事訴訟法の勉強を助けてくると思います。あえて難点があるとすれば,文字ポイントを落とした部分が発展学習のものかコラムなのか分かり難いところです。具体的には,”それでもなぜ,学説は新訴訟物理論なのか”(50ページ)や”要件事実学習に対する誤解”(68ページ)などの部分です。版を改める機会があれば是非これらについて明確にしていただきたいところです。

基本者を一読したりすでに『講義 民事訴訟』を読んでいる場合はもちろん,多義的な”訴訟物”や”証拠資料と訴訟資料の峻別”などピンとこない場合は一読の価値があります。

posted by まったりな。 at 04:59 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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