2009年06月27日

『世襲議員のからくり』

世襲議員のからくり (文春新書)

近年の日本の政治は劣化した。その原因の一つである世襲を守る政治システムは,国民には見えにくい。そのからくりを永田町激怒の深層レポートで明らかにする。

これこそジャーナリストの仕事だろうと思う。なんとなく二世議員・世襲議員が幅をきかせているが,それは一体どういったことなのだろうか。それを白日のものとする。でも,こんなことを書いていて,北朝鮮のような情報統制社会である日本で生命の危険を感じないだろうか他人事ながら心配になる。

”第1章 二世の投げ出しはなぜ続く”と”第2章 民主党の二世たち”とは,まぁ自民党と民主党で誰でも知っているような議員を取り上げてその略歴というかエピソードが書かれている。あまり品のいい部分ではないけど日本政治家ってこの程度なのねと情けなくなる。時間がないなら飛ばしても全然問題がないと思います。

”第3章 からくりその1―政治資金管理団体の非課税相続”の部分は衝撃的ではないだろうか。政治家を家業・事業としているように見えるのに相続税は払わなくても良いし,法人税・事業所得も払わなくて良いなんてあまりに不平等である。たったの10ページくらいしかないのに,その受ける印象は物凄いものがある。ちなみにいわゆる政治社畜(政治記者)はこういったことを当然知っていると考えられるのにぜんぜん問題にしてこなかったのは身の危険を感じるからだろうか。相続税を納めるのに四苦八苦するような事が多い国民目線で見れば怒り出すようなことだ。この部分を読んでから自民党が世襲制限について全く政策に入れないのはあまりに国民を馬鹿にした所業であると思う。

”第4章 からくりその2―後援会組織の世襲”と”第5章 からくりその3―どんな無理もする「看板の世襲」”は世襲性は実は政治家が作り出すという面と後援会組織自体が世襲性を作り出すという面もあるらしい。なんかこの部分を読むと家臣団と江戸大名の関係を思い浮かべた。大名は専制君主として君臨するのではなく家老などの重臣の集団統治システムにより領国を支配しているという感じなのだ。実は日本は明治・大正にくらべて近代化が遅れているのではないだろうかとも思えてしまう。

”第6章 世襲大国日本”はイギリスを手本にすべきではないかと提案している。ただ,これだけではホントに日本に定着させられるかはイマイチ謎である。外国のシステムを適当に入れても上手くいかないのではないか。仏作って魂入れずになりかねない。次に,”第7章 国民の意思が世襲を断ち切る”と書いている。だけど情報弱者しかいないので,国民意思で政治が変わるというのは極めて難しいでしょう。一例をあげれば森田千葉県知事の誕生の時には,知名度があれば政策なんてぜんぜん問題にされないような選挙になるのだから国民が選択・変革するなんてムリです。

”おわりに 政治記者になぜ政治家の二世が多いのか”と言う部分も,びっくりします。電波利権ってこんな感じで作られているのね。なんか田中康夫がいう“政官財学報ペンタゴン”ってこうして作られていくのかと納得します。これだけで一冊の本ができそうなテーマです。この本もお子様とジャーナリストではない記者を目指す人は読まない方が良いでしょう。日本に幻滅すると思えるからです。

posted by まったりな。 at 05:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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