2009年11月12日

『「押し紙」という新聞のタブー』

著者は「押し紙」の問題について長年にわたって取材をしており,新聞販売黒書など運営している。いままでの取材成果をわかりやすくまとめている。「記者クラブ」,「押し紙」,「新聞勧誘問題」ほとんどマスゴミに登場しないので(「週刊新潮」くらいかな取り上げるのは?),これらをネット上に限らず一般に手に入りやすい新書で出した意義は大変大きいと言える。本書は,「押し紙」と書名にあるが,高尚な新聞論・メディ論では全くと言い程に取り上げられない新聞業界を巡る問題を取り上げている。特に,”第6章 誰も書けなかった「新聞拡張団」”,”第7章 部数至上主義と世論誘導”,”第8章 政界工作の大罪”をこれだけ新書が書けるくらいのテーマではないかと思える。なお,「記者クラブ」についてはジャーナリズム崩壊 をお薦めします。

本書のテーマである「押し紙」については第1章から第5章で取り上げられる。だいたい知っている話しではあるが,衝撃的なのは”第2章 欺かれる広告クライアント”と”第4章 水増しされる折込チラシ”だろう構造的に新聞業界が詐欺行為を行っているのだ。これは広範に及び通常の営利広告から県民報のような血税で作成される広報紙からも詐欺行為をしているのは改めて読んでも許せないと思う。これを30年近く続けているのだ。新聞というは暴力団か負けの日本最大の犯罪組織ではないだろうか。「公器としての新聞」なんて誰も信用しなくなるような内容である。

”第1章 朝・毎・読――没落の真相”では新聞販売についての最近の状況をとりあげている。さらに”第3章 「押し紙」が支えてきた新聞ビジネス”よく知られていない新聞のビジネスモデルについて知ることができる。これを読むと日本の新聞というのは新聞の記事の内容で勝負しているのではなく,単に発行部数による広告業に過ぎないことがよく分かる。やはり新聞を読むというのは情報弱者であると自ら宣言していることになるのだ。75頁では,ちらりと産経新聞が「押し紙」を減らしていることが書かれている。もうすこし評価をしても良かったのではないか。

”第5章 NOと言えない販売店”では外部からは大変分かり難い新聞発行社と新聞販売社との中小企業いじめともいえる状況と商慣習についてかかれている。はっきり言って酷すぎる内容で,やっぱり新聞社って犯罪組織みたいなものなのねと言うのが再確認できたりする。この部分もほとんど取り上げられないので,一読の価値があると思う。”第6章 誰も書けなかった「新聞拡張団」”は「新聞勧誘問題」を一般向けのホントして初めて書いたのではないかぁと思う。日本の新聞は「エリートが作ってヤクザが売る」というよく言われることが書かれているだけなんですけどね。一般向けに公にしたことに意味があります。

”第7章 部数至上主義と世論誘導”,”第8章 政界工作の大罪”はまぁ権力を監視するとか言うのは画餅に期す様な内容です。こちらも読めば衝撃を受けるのではないでしょうか。そういえば,1刷の186頁で「日販教と新聞族議員の“絆”」は日販協の誤りですね。既得権益(特殊指定など)を守るために一生懸命に本来は批判対象である政治にすり寄っていく姿が述べられています。あと,今年にあった「新聞社に公的資金」をとかいうがすげぇ発想を平気で述べる悲しい姿も取り上げられています。
「押し紙」という新聞のタブー―販売店に押し込まれた配達されない新聞「押し紙」という新聞のタブー―販売店に押し込まれた配達されない新聞

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過去ログ
プチ株とPDA・PCと。: 『ジャーナリズム崩壊』
プチ株とPDA・PCと。: 米新聞業界の危機,悲しいが救済はせず 米政府
プチ株とPDA・PCと。: 発想がすげぇな。

posted by まったりな。 at 05:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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