2010年03月22日

要素の錯誤についての判例

判決要旨
学校法人の理事がした辞任の意思表示及び同法人の理事会において後任理事の選任決議案に賛成する旨の議決権の行使が要素の錯誤により無効であるとはいえないとされた事例

最判平22・03・18(原文PDF
 金融機関と交渉して当該金融機関に対する連帯保証人の保証債務を免れさせるという債務を履行する力量についての誤信は,ただ単に,債務者にその債務を履行する能力があると信頼したにもかかわらず,実際にはその能力がなく,その債務を履行することができなかったというだけでは,民法95条にいう要素の錯誤とするに足りず,債務者自身の資力,他からの資金調達の見込み等,債務の履行可能性を左右すべき重要な具体的事実に関する認識に誤りがあり,それが表示されていた場合に初めて,要素の錯誤となり得るというべきである。…被上告人らが上告人Yに本件合意を履行する能力があると信じた事情として,上告人Yから前記の大物3名の上告人Yの理事への就任が予定され,将来的にはC大学がA学園を経営することになるという説明がされたことがあるが,これらは,本件議決権行使等の当時においては現実に存在した事柄であったということができ,その後同理事らが辞任するなどし,C大学側との協議が成立するに至らなかったとしても,本件議決権行使等の当時においてこれらの点につき錯誤があったことになるものではない。そのほかに,上告人Yの資力,資金調達の見込み等,債務の履行可能性を左右すべき重要な具体的事実に関して,被上告人らに錯誤があったことをうかがわせる事情は存しないから,上告人Yが本件債務を履行する力量を備えているものと信頼していたとしても,その信頼が表示されていたか否かにかかわらず,要素の錯誤があったものとはいえない。
 そうすると,旧理事らによる本件議決権行使等が要素の錯誤により無効であるということはできない。

タグ:判例 民法
posted by まったりな。 at 13:14 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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