2010年03月25日

任期満了間際に政務調査費でPCなど購入することへの判断

[政調費]任期満了前の支出、必要性なければ違法 最高裁
茨城県かすみがうら市が2006年当時の市議14人はに支出した政務調査費約150万円をパソコンやビデオカメラなどを購入し,2007年1月の市議選には出馬しなかったため,かすみがうら市民が「違法な支出だった」として提訴した住民訴訟について,「調査や研究に必要だったのかどうか,十分に審理されていない」とし,支出を適法とした控訴審判決を破棄し審理を東京高裁に差し戻した。控訴審判決は「政務調査費の支出は各議員の裁量権が尊重される。任期満了に近い時期であっても,裁量権の逸脱があったとはいえない」として請求を棄却しました。

判決要旨
交付を受けた政務調査費からの支出が使途基準に合致しないものであったことをうかがわせる上告人(原告)主張の事実の存否等を審理することなく,同支出により購入された物品の品名を認定するなどしただけで,直ちに同支出が同使途基準に反するものとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例

最判平22・03・23(原文PDF
本件は,かすみがうら市の住民である上告人が,かすみがうら市議会議員14名が平成18年度に被上告人から交付を受けた政務調査費について使途基準に違反する違法な支出を行っており,上記各議員は同市に対して上記支出額に相当する金員を不当利得として返還すべきであるのに,被上告人はその返還請求を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被上告人に対し,上記各議員に対して上記不当利得の返還請求をすべきことを求めている事案である。

本件条例7条は,会派及び議員は,政務調査費を別に定める使途基準に従い使用しなければならないと定めている。これを受けたかすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号)は,その5条及び別表第2により,議員に係る上記使途基準(以下「本件使途基準」という。)として,資料購入費につき「議員が行う調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要する経費(書籍購入代,新聞雑誌購読料等)」,事務費につき「議員が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費(事務用品,備品購入費,通信費等)」などと規定している。

本件使途基準は,…資料購入費につき「議員が行う調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要する経費」,事務費につき「議員が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費」と定めるなど,調査研究のための必要性をその要件としている。議員の調査研究活動は多岐にわたり,個々の経費の支出がこれに必要かどうかについては議員の合理的判断にゆだねられる部分があることも確かである。そして,本件物品は,その機能,一般的用途からして,議員の調査研究活動に用いられる可能性はあり,それがパソコンやビデオカメラなどの比較的高額な物品であるからといって,直ちに上記の必要性を欠くものとはいい難い。

しかし,前記事実関係等によれば,本件物品は,本件議員らの任期満了1ないし4か月半前という時期に購入されており,任期中の最後の議会の会期後に購入されたものも少なくない。また,本件議員らは,任期満了による選挙に立候補することなく,市議会議員としての任期を終えたというのである。そして,上告人は,本件議員らは10年から20年以上にわたる議員としての経歴を有するところ,このような手元に残る物品を在職中初めて購入したり,緊急の必要性もなく買い換えたりしたと主張している。前記の事実に加えて,上記のような主張に係る事実が認められるのであれば,本件各支出は調査研究のための必要性に欠けるものであったことがうかがわれるというべきであり,その場合,特段の事情のない限り,本件各支出は本件使途基準に合致しない違法なものと判断されることとなる。この点,住民監査請求における本件議員らの監査委員の調査に対する本件回答の内容は,…そのほとんどが抽象的なものにとどまるところ,本件において,このような抽象的な回答をせざるを得ないような合理的な理由があるか否かは定かではなく,本件回答があるだけで上記の特段の事情があるということは困難である。

そうすると,上告人の上記主張に係る事実の存否や上記の特段の事情の有無について十分に審理することなく,単に本件物品の品名を認定し,上記のような本件回答を参酌するだけで,直ちに本件各支出は本件使途基準に反するものとはいえないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるというべきである。

タグ:判例 行政法
posted by まったりな。 at 11:56 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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