2010年04月03日

3月30日の判例

最判平22・03・30の判決要旨
道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を他に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記建物が取り壊されずに現存していることなどから直ちに,上記補償金には租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項及び所得税法44条のいずれの適用もなく,その全額を一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきであるとした原審の判断に違法があるとされた事例

上記の(原文PDF
土地が土地収用法等の規定に基づいて収用され又は収用権を背景として買い取られることとなったことに伴い,その土地の上にある個人所有の建物について移転,移築,取壊し,除去等をしなければならなくなった場合において,その所有者がその費用に充てるための補償金の交付を受けたときは,当該補償金の金額は,本来その者の一時所得の収入金額と見るべきものである。

しかし,その者が上記の金額を交付の目的に従って上記の移転等の費用に充てたときは,所得税法44条の規定により,その費用に充てた金額は,各種所得の金額の計算上必要経費に算入され又は譲渡に要した費用とされる部分の金額に相当する金額を除き,一時所得の金額の計算上総収入金額に算入されないことになる。

また,上記の補償金のうち,当該建物の取壊し又は除去による損失に対する補償金については,措置法33条3項2号の規定により,当該建物について同条1項所定の収用等による譲渡があったものとみなし,その金額を当該譲渡に係る譲渡所得の収入金額である同項所定の補償金等の額とみなした上で,同項を適用し,その金額がその者の取得した代替資産の取得価額以下である場合には上記の譲渡がなかったものとし,その金額が当該取得価額を超える場合には上記建物のうちその超える金額に相当する部分について譲渡があったものとして,その年分の譲渡所得の金額の計算をすることを選択することも許されるものである。ただし,同条5項は,同条1項1号等に規定する補償金の額は,名義がいずれであるかを問わず,資産の収用等の対価たる金額をいうものとし,収用等に際して交付を受ける移転料その他当該資産の収用等の対価たる金額以外の金額を含まないものとすると定めており,同項の補償金等の額とみなされる同条3項2号所定の「資産の損失に対する補償金」の額も,これと同様に,土地の収用等に伴い取壊し又は除去により失った資産の対価に相当する金額をいうものと解するのが相当であるから,土地の収用等に伴いその土地の上にある建物の移転等に要する費用の補償を受けた者が,当該建物を取り壊して代替資産を取得した場合,当該補償を受けた金額のうち同号所定の補償金に当たるのは,当該建物の対価に相当する部分に限られるものというべきである。

ところで,「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年6月29日閣議決定)24条1項及び「公共用地の取得に伴う損失補償基準」(同年10月12日用地対策連絡会決定)28条1項は,取得し又は使用する土地等に取得せず又は使用しない建物等があるときは,当該建物等を通常妥当と認められる移転先に,通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用を補償する旨を定め,これを受けた「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(同38年月7日用地対策連絡会決定。以下「本件細則」という。)第15は,@建物を移転させるときは,通常妥当と認められる移転先を残地又は残地以外の土地のいずれとするかについて認定を行った上で,当該認定に係る移転先に建物を移転するのに通常妥当と認められる移転工法の認定を行い,当該移転先に当該移転工法により移転するのに要する費用を補償するものとし,A通常妥当と認められる移転工法は,再築工法,曳家工法,改造工法,復元工法及び除却工法とし,B再築工法(残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築し,又は残地に従前の建物と同種同等の建物若しくは従前の建物に照応する建物を建築する工法)を妥当と認定した場合の建物の移転料は,建物の現在価額,運用益損失額(従前の建物の推定再建築費と従前の建物の現在価額との差額に係る従前の建物の耐用年数満了時までの運用益に相当する額)及び取壊し工事費の合計額から発生材価額を差し引いて算定した額とする旨を定めている。

そうすると,再築工法による移転を前提に本件細則の定めに準ずる方法で算定された建物の移転料の交付を受けた者が,その交付の目的に従って,従前の建物を取り壊し,代替建物を建築して取得した場合には,当該移転料のうち,@従前の建物の現在価額から発生材価額を差し引いた金額に相当する部分は,その全額について,A運用益損失額に相当する部分は,代替建物の建築に実際に要した費用の額が従前の建物の現在価額を超える場合において,その超える金額に係る従前の建物の耐用年数満了時までの運用益に相当する部分について,B取壊し工事費に相当する部分は,実際に従前の建物の取壊し工事の費用に充てられた部分について,それぞれその交付の目的に従って移転等の費用に充てられたものとして,所得税法44条の適用を受けると解するのが相当である。また,これらのうち上記@の部分については,更に,従前の建物の対価に相当するものとして,措置法33条3項2号所定の補償金に該当し,同条1項の適用を受けると解するのが相当である。

以上を前提として本件についてみると,前記事実関係等によれば,上告人は,山形県が施行する土地収用法3条1号所定の道路事業の用地としてその所有する本件土地を買い取られ,これに伴い,同県に対して本件土地上に存する物件を移転することを約し,その移転及び損失の補償として同県から本件建物移転補償金等の支払を受けたものであるところ,少なくとも本件居宅については,これをAらに譲渡して本件残地上に曳行移転させることによって,上記の移転義務を果たしたものということができるから,本件建物移転補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てた金額がある場合には,当該金額については,所得税法44条の適用を受けるものというべきである。

また,上告人が主張する…事実が認められれば,本件建物移転補償金は,山形県補償基準中の本件細則と同旨の定めに基づいて,本件細則所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであるがい然性が高いものということができる。そして,…上告人が主張する…事実が認められれば,本件居宅は,取り壊されてはいないものの,個人であるAらに対して無償で譲渡され,本件土地上から移転されたことになるから,これにより上告人には本件居宅の取壊しに準ずる損失が生じたものということができ,上告人は,本件建物移転補償金の交付の目的に従い,これをもって上記の損失を補てんするとともに,移転先として本件居宅に代わる建物を建築して取得したものということができる。そうであるとすれば,本件建物移転補償金のうち,少なくとも本件居宅に係る部分については,@取壊し工事費に相当する部分等のうちに上記曳行移転の費用に充てられた部分があるときは,当該部分は,実質的に交付の目的に従って支出されたものとして,所得税法44条の適用を受け,また,Aそれ以外の部分についても,…同条又は措置法33条1項の適用を受ける部分があり得るものというべきである。

したがって,上告人が主張する上記の各事実が存在するかどうか,本件建物移転補償金のうちに上記各規定の適用を受ける部分があるかどうかなどの点について十分に審理することなく,本件居宅等が取り壊されずに現存していることなどから直ちに,本件建物移転補償金には上記各規定のいずれの適用もなく,その全額を一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきであるとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるというべきである。

最判平22・03・30(原文PDF
定例会等の会議に出席した市議会議員に日額1万円の費用弁償を支給する旨の市条例の定めが,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)203条によって与えられた裁量権の範囲を逸脱しないとされた事例

最判平22・03・30(原文PDF
金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう「重要事項」に当たらない。

最判平22・03・30(原文PDF
貸金業を営む株式会社の従業員が会社の貸金の原資に充てると欺罔して第三者から金員を詐取した行為が会社の事業の執行についてされたものであるというためには,貸金の原資の調達が使用者である会社の事業の範囲に属するというだけでなく,これが客観的,外形的にみて,被用者である当該従業員が担当する職務の範囲に属するものでなければならない。ところが,原審は,貸金の原資を調達することが上告人の事業の範囲に属するということのみから直ちに,これが上告人の被用者の職務の範囲に属するとして,本件欺罔行為が上告人の事業の執行についてされた行為に該当するとしたものであるから,その判断には,民法715条の解釈適用を誤った違法がある。

最判平22・03・30(原文PDF
専願等を資格要件としない大学の推薦入試の合格者が入学年度開始後に在学契約を解除した場合において,学生募集要項に,一般入試の補欠者とされた者につき4月7日までに補欠合格の通知がない場合は不合格となる旨の記載があるなどの事情があっても,授業料等不返還特約は有効である。

posted by まったりな。 at 07:44 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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