2011年04月19日

『十字軍物語2』

十字軍物語2十字軍物語2
塩野七生

新潮社 2011-03-24
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第一次十字軍の奮闘により、聖地イェルサレムに打ち立てられた十字軍国家,その十字軍国家がこんどはイスラム側からの反攻に曝されることになる。最初の敵はモスール大守ゼンギである。その息子でシリアを統一したヌラディンを経て,エジプトまでも統一してしてしまったサラディン(エジプト・アイユーブ朝の始祖)によって十字軍国家は崩壊する。その経過をたどるのが第2巻です。

この巻でもっとも感銘を受けるのは同時は死病とされたライ病に罹患しながらもボードワン4世です。慢性的な戦闘員不足な状況でエルサレム王国を守るため鞍に自らくくりつけてまでイスラム側の反攻に耐えていきます。ただ,統治者としての責任感のみでこの行為を誠実に続けていく姿に感動します。それに対して,東日本大震災に対する政治家の姿とても情けないものに思えます。

また,エルサレム王国を攻撃し,ハッティーンの戦闘で十字軍の主力部隊を壊滅させたのち,エルサレムを同年奪還することに成功したサラディンが,身代金を払えない捕虜まで放免するという寛大な処置をしている。この裏には,バリアーノ・イベリンとの濃密な人間関係にあったのはぜんぜんしりませんでした。イベリンの活躍の部分とサラディンとイベリンとの人間関係の部分もすばらしい筆致で書かれています。

こうしたストーリーの他に,聖堂騎士団(テンプル騎士団)と病院騎士団(現在の正式名称は「ロードスおよびマルタにおけるエルサレムの聖ヨハネ病院独立騎士修道会」)の成り立ちについての違いから主な活動の違いなどが分かりやすく書かれている。そして,現在でも中東に残る城塞の役割なども知らなかったのでなるほどと納得しました。

また,イスラム世界の宗派の違いはイマイチ分かりませんでしたが,第1巻と第2巻を読むことにより,世俗と宗教の関係がヌラディン・サラディンが力をつけていく様子を混ぜながら分かりやすく書かれています。

posted by まったりな。 at 20:44 | 千葉 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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