2011年09月03日

『知事抹殺』

知事抹殺 つくられた福島県汚職事件知事抹殺 つくられた福島県汚職事件
佐藤 栄佐久

平凡社 2009-09-10
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元福島県知事の佐藤栄佐久が巻き込まれたダム建設をめぐって突然湧いた逮捕,第1審裁判について書かれた佐藤栄佐久本人による本です。本書の構成は,前半の第5章までは知事としての回顧録ともいえる内容です。第6章以下がまきこまれたダム建設を巡る贈収賄事件で佐藤氏が巻き込まれた逮捕・起訴・第1審公判の見津からの記録と言うことになります。

本書は,いわゆる”国策捜査”,カレル・ヴァン・ウォルフレンがいおうところの”非公式権力”の暴走による無理矢理のでっち上げが骸のように投げ出されている。まったくもってめちゃくちゃな話しである。皮肉なことにこの事件の捜査に参加した前田恒彦検事(当時)は村木厚子元局長冤罪事件で証拠をでっち上げて証拠隠滅罪で起訴され懲戒免職処分を受け退官している。また,2006年に,官製談合事件で3人の知事が逮捕起訴されている点でも異様な感じを受けます。

さらに本書が注目に値するのは東日本大震災が発生したことにより,福島の原発問題が知事という立場から書かれており,その問題点が赤裸々に書かれているところです。特に重要な部分と思うのは「内部告発制度を作った国が,制度を理解していなかったとは思いたくはないが,すくなくとも国は国民サイドには立たず,国は産業と一体であったのは間違いない。「構造化されたパターナリズム」を国が悪用している以上,県が国民サイドに立たなければならない。そうでなければ原子力政策も破綻してまう。」(本書85ページ,構造化されたパターナリズムについては77ページ参照)でした。また,原子量関連施設を受け入れることで地方自治体がおかしくなってしまう例として双葉町(53ページ)のケースをあげていて,怖いなと思います。

そのほか,やってもいない犯罪を自白することがあるのは多くの冤罪事件によって明らかになっていますが,本書では205ページ以降にその構造的な欠陥が書かれています。これは佐藤優氏も同じようなことを書いているので,どうやら自白をしたくなる心境になってしまうところに驚きました。原発問題を考える上で,第3章,第4章は読んでおきたいところだと思います。

参考リンク
佐藤栄佐久 - 公式サイト

福島原発の真実 (平凡社新書)福島原発の真実 (平凡社新書)
佐藤栄佐久

平凡社 2011-06-23
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posted by まったりな。 at 13:21 | 千葉 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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