2012年04月09日

『父・金正日と私 金正男独占告白』

父・金正日と私 金正男独占告白父・金正日と私 金正男独占告白
五味 洋治

文藝春秋 2012-01-19
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本書を読む意味は242ページに書かれているように五味と金正男とにおける1時半になるインタビューと長期にわたってのメール交換により構成されているところにある。メールをそのまま本にした関係で当事者において当然の合意となっている時効側かならないと読めないところ,丁寧な注があるので理解に困ることはないだろう。もっとも,五味の興味対象が”終章 金正男が平壌に帰る日”に明らかになっているので,本書はさきに終章を読んでからまた,最初から読むのが良いように思える。五味の理解によれば北朝鮮のこれからには後見となっている中国の動向をみなればならないということになるだろう。本分でもそうした部分が読み取れる。そして,どうやら金正男は北朝鮮から監視対象とされ,中国からは保護の対象となっているようだ。中国としては,覇権国家であるアメリカとの緩衝のために北朝鮮をできるかぎりコントロールの下に起きたいという政治上のオプションの一つとしている。そのための手持ちのカードして保護の対象にしているようである。

さて,本書において大方の人がもっている金正男についてイメージはくずされるところになるだろう。もっとも,上記の意図と三代世襲への批判,中国式の改革開放についての話しが前面に出てくるので,金正男の人となりはどうも表層的にしか現れていないようにみえる。メールでのやりとりなどがメインとなっているための限界かもしれない。また,金正恩の指導下にあるように見える北朝鮮については,金正男はすでに北朝鮮の政治から離れた立場にいるので,北朝鮮のこれからについて何らかの手がかりになるようなことはほとんど書いていないために物足りないと思える。五味が言う金正恩体制が崩壊して金正男が北朝鮮の表舞台に立つようなこともあれば本書の価値は極めて高いものになるが,そのようなことは起こるかは謎である。本書はあまり知られていない金正男についてその一端を知ることが出来る意味で読む価値があるといえる。

posted by まったりな。 at 21:45 | 千葉 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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